●火怨 読了。
数少ない朝廷側の記録(約1割)+作者の類まれなる想像力(9割)で成り立っている作品。
しかしその内容はけっして馬鹿にできるものではなく、非常にストーリーがよく練られている。
朝廷側の記録からいえば、坂上田村麻呂が蝦夷を討伐したことになっているが、実際はそのあと100年ほど記録のない時代を経て前九年後三年の役が発生している。
(実質朝廷が蝦夷の領土を完全に収めたのは奥州藤原氏を滅亡させてから)
つまり蝦夷の棟梁であるアテルイとモレが降伏して処刑されているが、蝦夷と朝廷の対立関係は一事沈静化したものの決着には至っていなかったということ。
・戦いに優勢であった蝦夷側の指揮者の投降と処刑
・田村麻呂の実績以上の評価
・蝦夷勢力の面従腹背
これらの要素を無理なく展開・終結させている。
下巻の中盤から「いかにしてこの戦争を終わらせるか」という蝦夷側の策に、すべてが回転していく。
●十津川警部の挑戦
思わず買ってしまったが・・・・トラベルミステリーではない、警察の暗部をえぐる作品とのことで期待して購入。
再刊だけど一応新刊だし。
文章に区切り多く、改行も多いので実に読みやすく、1日で上巻読了。
思ったよりアッサリしているので、結末がよくないと処分対象。
●炎立つ(ほむらたつ)
火怨につづく高橋克彦・東北3部作の第2弾。
NHK大河ドラマにもなったのに・・・・記憶がない。
2巻まで購入。近日中に着手。