●風の陣(立志編)
高橋克彦の東北シリーズ。火怨、炎立つのシリーズより後の作品であるため、筆者の研究がさらに進んでいる。
舞台は奈良時代、東北で黄金が出たあとの話。
第1巻である立志編では橘奈良麻呂藤原仲麻呂の政権争奪の話。
まるまる1冊400ページほどを費やしているが、山川の日本史には1行程度で処理されていた(42P)。
第2巻大望編では藤原仲麻呂恵美押勝)が隆盛を誇るが、帝の寵愛を失い、道鏡が台頭する。
アテルイよりも昔の話ではあるが、登場人物やストーリー展開などがよく練りこまれていて、作者の意気込みが伝わってくる。
面白いけど、作品の雰囲気は火怨、炎立つとあんまり変わらない。

●愛、知りそめし頃に(12)
藤子不二夫Aのまんが道、完結。
トキワ荘から「オバケのQ太郎」「サイボーグ009」「おそ松くん」が誕生する直前で話が終わる。
個人的には藤子不二夫Aが児童漫画をあきらめて「ブラック寄り」に作品が変化していくあたりを書いてほしかったんだけど。
トキワ荘の入居期間は藤子不二夫両氏で異なっており、A=1953〜57、F=1954〜1961(ブラックジャック創作秘話3巻・第14話より)となtっている。
漫画では両氏が同時に入居していることになっているので、F氏の1年間のずれは隣に部屋を借りて独立したことを指しているのかもしれない。

●新・鉄子の旅(5)
まさかの連載終了、最終巻。
前作が、好評であったにもかかわらず筆者の体力的限界(30になって無茶なノリ鉄旅は難しい)を理由に連載を止めなくてはならなかったことを反省材料とし、未成年の漫画家を後継としたにもかかわらず、無念の完結。
未成年の女性漫画家+ソフ鉄女優・村井美樹鉄ヲタ・横見+編集部カミムラ+編集長の5人がレギュラーであったが、多忙の村井美樹、編集長がレギュラーというところに問題があったのではないだろうか。
本屋の片隅に並べられていた鉄道ファン、鉄道ジャーナル、ダイヤ情報など、時刻表以外の鉄道専門誌が店頭に並ぶまでのブーム?になった火付け漫画でもあるので、若手漫画家の登竜門としてこの漫画はぜひ存続してほしい。

巡洋艦入門(再読)
艦これの影響もあり、以前読んだ本の再読を開始。
高雄型4隻(高雄、鳥海、愛宕、摩耶)のうち摩耶のみが違った運命をたどっていたり、面白いエピソードが満載。
※摩耶は高雄型4番艦として計画されたものの、昭和初期の経済不況により建造が10年遅れ、近代改装前(愛宕、摩耶)に開戦。損傷修理の際に防空巡洋艦として生まれ変わる大改装をうける。
・・・が、魚雷で沈没。