松本清張 文庫未収録作品収録集(3)
 本命はこの本であったが、つい追加で2冊購入してしまった。

○QED 御霊将門
 シリーズ文庫版の最新刊。

偽書東日流外三郡誌」事件(つがるそとさんぐんし)新人物文庫 斉藤光政
 上記2冊を差し置いて、なにげなく読み始めたらグイグイ進みはじめた。
 この「外三郡誌」は20年ほど前に「出現」し、現在も真偽の議論が継続しているにもかかわらず、原本の鑑定ができないがゆえに問題の解決がダラダラと先延ばしになっている(中盤まで読み終えた段階で)。

 この「外三郡誌」は発見者の屋根裏から落ちてきた長持の中に納まっていた古代書で、類する書物を含めると千巻ちかくの量になるという。
 古代において畿内の中央政権と対立していた東北地方の王権があり、その王権(つまり敗者)からみた歴史(史観)が書かれている。
 古事記日本書紀と異なる部分もあり、本来なら日本史上の大発見になるのだが・・・・。

 残念ながらきわめてマユツバものなのである。
 ・書物の字体が発見者の文字と酷似しており、誤字も同じ。
 ・江戸時代に編纂されたことになっているが、明治以降の風習・事柄などが記録されている。
  (例:1930年代に新規発生した東北のキリストの墓。江戸時代の書とするのに明記されている)
 ・偽書としての明確な指摘がされているにもかかわらず、書物の提出や鑑定をさせない。
 
 読み続けるに従い、読み終える意味すら感じなくなってきた。

 偽書問題の本当の問題をおおまかにまとめると・・・
 ・明らかな偽書を村史に資料として市町村が公式採用してしまった。
 ・これは書物を持ち込んだ人間としては功名心を満足させ、金銭もアテになるというメリットがあり、市町村としては村町興しに利用したいという双方の思惑が合致したゆえの悲劇。
 ・ひとつの市町村が公式としてしまったため、他の市町村でもろくに真偽を確かめずに史料として採用してしまった。
 
 あきらかなキナくさい儀式などで数百万のカネが動き、新聞社も記事をスッパ抜こうとして同様の金額を渡してしまったり、お粗末感がたえない。