◎あの頃ぼくらはアホでした
先週の木曜日、会社から実家へ移動、王子たちと食事(とポケモン鑑賞)をともにしたが、9時過ぎに王子たちは就寝。テレビをつけるわけにもいかないので、離れの部屋で横になったとき、手持ちの本が1冊しかないことに気がついた。部屋の中にある本棚を物色したところ、おそらく妹が昔買ったと思われる東野圭吾の表題の本を発見。パラパラめくってみると作者のショートエピソード集で、かなりユーモラスに書いてあるので読み始めた。内容から察するに、作者は私のひとまわりほど上の世代の人なので、世間の話題を主とする話にはズレは感じるが、内容をよく理解できる部分も多かった。
・怪獣ブームの先駆となったゴジラとそれ以降の類似作品
 テレビが普及する前に上映された映画ゴジラをはじめとする特撮怪獣映画の個人的感想が書かれており、実にわかりやすかった。とどのつまり、ゴジラ作品は秀逸(ただしモスラに敗北した際、海中に落ちて頭を打ってゴジラが正義に目覚めてしまう展開以後は・・・???)。ゴジラ以降の他社作品も含めて時系列的に書かれている(かなりマニアック?な作品のコキおろしもあった)。ゴジラを基本線とした他社作品との比較論については、1970年代のウルトラシリーズにおける、本家と他作品の比較論とほぼ同じ。
ウルトラQ以降
 ウルトラQの各エピソードについて感慨深く語られたあと、次作の初代マンについての賞賛とツッコミがあり、さてその次はなんだと期待したところで「キャプテンウルトラ」にちゃぶ台返しをされた、という話。ジャミラについては丸首セーターの首のところから顔を出し「ジャミラごっこ」をやったとあるが、やはり皆同じなんだと感心した。
・俺のウルトラセブンを返せ
 セブンに関してはウルトラ警備隊のかっこよさやアンヌ隊員のことも含め、あらゆる分野でうんちくが説明されており、読んでいて(知っていることが大半であったが)楽しかった。本人が楽しんで書いている文章は、それが読む人にも伝わるのだろう。作者の成長に合わせてウルトラQ〜初代マン〜セブンとドラマ性が増した作品に昇華されていく中で「帰ってきたウルトラマン」(通称・新マン)が放送開始。作者は大いに期待したが、ドラマ性が薄くなりいささか子供向けになっていることをなげきつつ、それもやむなしと納得している。しかし作者の中では「初代マンの世界」と「セブンの世界」は相いれるものではなく、「帰ってきたウルトラマン」がありなら「帰ってきたウルトラセブン」もありだろうと考えていたが・・・第18話で崩壊。
・このあと、関西の国公立大の電気工学科に進学する作者だが、学部選択の根拠や、似非理系と真性理系の違いを痛感する話など大学時代のエピソードが多くなる。私も文系ながら耳が痛い話が多かった。
・「微分積分三角関数が何の役にたつんだ」
微分積分三角関数などというお遊びみたいな数学は何の役にも立たない。役に立つのはその先にある本当の数学なのだ」
・学生時代、勉強しなかったなあと思う人はぜひ一読して欲しい本。