●神々の流懺

梅原猛の古代史に関する論文(?)
記紀への疑問から仮説が生まれ、推論が展開される。
文体などは当然ながら「隠された十字架」と同じで読みやすい。
字も細かいのでなかなか進まないが、話の筋としては「記紀への疑問」に始まり、第2章では記紀の記述の中で疑問視される代表的な記述について推論を述べている。
まず記紀の中で記述があって出雲国風土記に記述がない「ヤマタノオロチ伝説」と「国譲り」について検証。

1:上記の件について出雲国風土記になぜ記述がないのか? 実はこの事件自体出雲の国で起こったことではなく、別の場所で起こったのではないか?
2:ヤマタノオロチ伝説についての検証。ヤマタノオロチとはなんなのか?答えは「山」であり、その山とは「三輪山」である。
3:以上のことがらを踏まえて、三輪山を神とあがめるオオクニヌシ勢力の敗北、そして銅剣文化の象徴であるクサナギノツルギの神器化が推測される。

ヤマタノオロチ伝説が畿内の出来事であるという推論、およびヤマタノオロチが「山」であるという発想も初耳だが、推論には説得力がある。
次なる章で国譲りに関する事柄が検証されることになると思うが、明日以降のお楽しみ。