開幕2戦目。
わが安全リーグはリーグの中でも比較的打線の弱い(=チームが弱いにあらず)チームが集まっている。
相手打線の威圧感が少なければ投手への負担も減るし、延長戦にでもならない限り投手陣総倒れということも考えられない。
開幕戦は落としてしまったので、続く加賀屋スプリングス戦はますます落とせない戦いとなった。
翌日以降の日程は、続く3日目グリフォンズ戦が最後のオアシス、そして4日目以降は地獄の交流戦となる。
交流戦での投手の損耗を考えると今日の試合はただ勝つだけではなく、投手を消耗させずにエレガントに勝つことが求められる。

我がチーム先発は榎津礼二郎。2期のドラフト2位投手で今期初一軍。開幕戦ではリリーフとしてブルペンに入った。
投手スタッフをみると先発要員で守護神でもある来栖、もしくはストッパーで使い続けてきたがコントロールがよくなって新球種も覚えて幅が広がった福永でもよかったのだが、とりあえずリリーバーは接戦にそなえて控えさせておくことにした。
スプリングス先発は「うさだひかる」。
リーグ一を誇るスライダーが武器なのだが、速球も昨年までの我がチームなら苦戦した程度には投げられる。
ここ近年見せ球のカーブの威力がつきはじめ、昨年はシュートも覚えて一応成長の跡は伺える。
このうさだは昨年特に「KTと相性がいいから」(=他球団には通用しないから)という安直な理由で我がチーム相手に先発を繰り返し、それなりの結果を出してしまったためにオールスターにも選出され、天狗の鼻の伸び具合はまさに成長期。
そろそろうさだ本人の人間性を正す意味でも、その鼻を新打線で切り落としてやらなくてはなるまい。
鼻が長いとごはんも食べにくいだろうからな。

新打線は初回、早速2安打で2死12塁、チャンスで5番の忍成をむかえたが結果はキャッチャーフライ。
得点はできなかったが、うさだを消耗させることが出来た。
反面、1回裏初登板榎木津は2死走者ナシからプロ初洗礼を3番宮田に浴び、失点。
しかし今日の打線ならうさだは必ず攻略できる。若い投手が一発浴びたくらいで微動するほどのこともない。授業料の範疇だ。
2回表は案の定三者凡退に終わったが、3回表1死で1番天にまわり新打線が爆発する。
1番天四球、3番竜崎安打。2死12塁で4番熱気バサラうさだはコースを狙っているつもりでロコツに勝負を避け四球。
2死満塁忍成をむかえたところでうさだはみずからマウンドを降りた。
ところが、先発うさだの予定外の降板に後続の投手は準備が全くできておらず、ベンチからグラブをもって笙野がマウンドにむかった。
(この場面は特に重要なので読者にはよく覚えておいてもらいたい)
ペナルティのチェックの結果、笙野はおとがめなく投球練習を終了し忍成と対決。
かつて先発投手として力を発揮し、最優秀防御率のタイトルも獲得した笙野。
その後球団をいくつか渡り歩き、今期のオフにたどり着いたのがスプリングス。
オフの更改でスプリングの先発投手1人が他球団にトレードに出せ!とゴネだしたため急遽結ばれたトレード話であった。
すでに先発でフル回転できる球威はなく「中継ぎで使う」とキャンプ前から監督が公言していた(←それも失礼な話だが)。
その初登板がブルペンでの投球練習ナシのスクランブル登板。
笙野のプライドはズタズタになったはずだが、忍成を三振に抑えプロとしての仕事をキッチリこなした。
監督もよくやったと握手でむかえ、3回裏スプリングスの攻撃に移る。

笙野の力投でチームが一丸となったためか、9番代打相沢がヒットで出塁、1番桑島はエラー出塁。
その後2死になったが4番松山が2点タイムリー。榎木津はまだ余力があったが3回3失点で降板することになる。
スプリングス3番手は変則左腕の亀山。まさにその変則投げだけでプロに残っている投手。他にこの投手の勲章と言えばドラフト3位入団ということぐらいだ。
この亀山に予想外に我がチームは苦しんだが、6回表に連打で1点を奪いあっさりと攻略。
結果的にアウトになったとはいえ、宝くじよりあたらない神楽坂に代打天空を出すことができ、昨年までレギュラーだった巴が代打でヒットを打つなど、我がチームの層が厚くなった感がある。
2死12塁、1番天の代打風間がボックスに立ちカウント1−2のところでスプリングスは投手交代を宣言。
でてきた投手は山田。
これも簡単に紹介すると昨年我がチームとの対戦で「相性がいいから」という理由だけで我がチーム相手に登板を繰り返し、結果が出てしまったために昨年はオールスターに選出されたという経歴を持つ。
風間は内野安打で出塁し(プロ初打席初安打。ここでホームランを打つとジンクスとして選手寿命が短くなるので、内野安打という結果はベストだろう。あとは飛距離を伸ばすだけだ)満塁。
2番木野はここで山田の投じた卑怯なフォークで三振。

3−1のまま試合は進行。我がチームは球界一のシンカーと覚えたての変化しないナックルを併せ持つ谷川が好投。8回裏に乱れたが4番手レコンキスタが火を消した。
9回表、9番ショートに入っていた鉄子がこれまたプロ初打席初安打(内野安打)で出塁。
スプリングスはブルペンに田村をむかわせるが、さらにもう1人の投手としてなんと「笙野」に声をかけた。
どこいったんだー笙野ー!!
監督は声を上げながら未登板投手カードの山を何度も確認するが笙野は勿論いない。
・・・・・・・さっき投げたでしょ。
信頼回復の握手をしたと思っていたら、実は記憶にも残っていなかったのか・・・。>泣くな笙野。
1番投手レコンキスタの代打蔵馬。この蔵馬もレギュラーとして規定打席に到達した年もあったが、今期は代打と守備固め中心。層が厚くなったとつぐつぐ実感。
蔵馬安打、木野も安打で無死満塁。ここで3番竜崎は燃えに燃える。
山田も腰の引けた投球でなんとかこの竜崎をライトフライに打ちとって1死をとるが、まだ満塁のピンチは続く。
竜崎がバットを叩きつけてベンチへ戻ろうとすると・・・・。

天から雨が・・・・・。
降りはじめた雨がやむことを祈りつつチェックを繰り返したが、グランドコンディションはどんどん悪化。
ついにふりやむことなくゲーム終了となってしまった。
(雨男がいれば雨が降るのイベントであったが、両チームの中で該当者は1名。忍成)

連敗。スプリングス監督は大喜び。

KT 000 001 000x=1
KS 102 000 00  =3

●榎木津(3)児玉(2)谷川(2.6)レコンンキスタ(0.3)
うさだ(2.6)笙野(0.3)○亀山(2.6)S山田(2.6)

リーグ規定により勝利投手亀山。
忍成に中元歳暮はかかせまい。