●世界の戦艦

艦船データが本になっており、比較のしやすい「連合艦隊」(サンセット社)で世界の超ド級戦艦群を比較してみた。
おもに太平洋戦域に登場した艦に限られているが、戦勝国は戦没艦が少なく、ドイツの降伏後は太平洋に転戦してきているので、サンプル量は十分だろう。

(1)イギリス

・QE級(5隻中4隻)※1 
 砲撃力27 防御力30 基本射程30 速力5 ☆ウオースパイト、ヴァリアント
 砲撃力27 防御力27 基本射程24 速力5 ☆バーラム、マレーヤ
・R級(5隻中1隻)※2
 砲撃力27 防御力27 基本射程24 速力4 ☆ロイヤルソヴリン
・R級巡洋戦艦(2隻中1隻)※3
 砲撃力24 防御力26 基本射程24 速力6 ☆レパルス
・フッド
 砲撃力27 防御力33 基本射程30 速力6
・KGV級(5隻中2隻)※4
 砲撃力33 防御力36 基本射程34 速力6 ☆プリンスオブウエールズ、デユークオブヨーク

※1 バーラム、マレーヤは同級5隻のうち最初に改装を受けたが、主砲仰角の増大改装がなされず、他の同型艦よりも射程が短くなった。
 次に改装を受けたウオースパイト以下3隻は主砲仰角以外にも大改装を受けた。
※2 QE級は24ノットだが、R級は21ノットなので速力に差が出た。
※3 主砲砲門数が少ないのためか同口径主砲を持つ他の英戦艦と砲撃力で差が出た。
※4 14インチ主砲12門をもつKGV級だが砲撃力は他の15インチ搭載艦よりは高い。新鋭艦だからなのか?
   16インチ砲搭載のネルソン、ロドネイのデータがないのでなんともいえず。

大西洋でのドイツとの戦いを強いられたイギリス艦隊。
旧式艦の改装に追われ(QE級から順番)かつ改装が開戦に間に合わなかったイギリス。
R級戦艦の低速短射程は後述の他国主力艦に比べ見劣りがする。
史実では敵対するドイツ海軍は艦艇数が少なく、艦隊同士の砲撃戦はまずありえないのだが、地中海のイタリア海軍にも備えなければならず、かつアジア方面へ東洋艦隊の派遣等で戦力が分散しがち。
開戦後に就役したKGV級を除くQE級〜ネルソン級までの15隻で大戦序盤の劣勢を耐え切った。

参考までに。
ビスマルク級戦艦
砲撃力36 防御力38 基本射程36 速力6
シャルンホルスト級巡洋戦艦
砲撃力26 防御力31 基本射程42 速力6

(2)アメリ
ネヴァダ
 砲撃力28 防御力28 基本射程28 速力4 ☆ネヴァダオクラホマ
・ペンシルヴェニア級 ※5
 砲撃力31 防御力30 基本射程28 速力4 ☆ペンシルヴェニア、アリゾナ
ニューメキシコ級 ※6
 砲撃力33 防御力31 基本射程34 速力4 ☆ミシシッピ
テネシー
 砲撃力33 防御力34 基本射程34 速力4 ☆テネシー、カリフォルニア
コロラド級 ※7
 砲撃力35 防御力34 基本射程31 速力4 ☆メリーランド、コロラド、ウエスバージニア
ノースカロライナ
 砲撃力38 防御力36 基本射程37 速力5 ☆ノースカロライナ、ワシントン   
・サウスダゴタ級
 砲撃力38 防御力37 基本射程37 速力5 ☆サウスダコタマサチューセッツアラバマインディアナ
アイオワ級 ※8
 砲撃力40 防御力46 基本射程39 速力6 ☆アイオワニュージャージーミズーリウイスコンシン

※5 主砲数が2門増えたため砲撃力増
※6 主砲の口径が14インチ50口径(他の14インチ艦は45口径)であるため砲撃力・射程増
※7 初の16インチ(45口径)搭載艦
※8 16インチ50口径主砲搭載

 真珠湾では停泊していた8隻中、5隻が沈没(ネヴァダオクラホマアリゾナ、カリフォルニア、ウエスバージニア)。
ペンシルバニアテネシー、メリーランドもなんらかの損害をうけた。

 軍縮条約で米英5に対し日本は3(保有できる主力艦の総トン数割合)。
日本海海戦らの戦訓により猛訓練で3割は底上げできると考えていた首脳部だが、保有戦力は6割。努力でもカバーできない戦力差となった。
そこで敵の主力艦を少しでも艦隊決戦の前に削減しようと決行されたのが真珠湾攻撃である。

(3)日本
金剛級巡洋戦艦(4隻中1隻残存)
 砲撃力30 防御力25 基本射程33 速力6
扶桑級戦艦(2隻中2隻沈没)
 砲撃力32 防御力27 基本射程33 速力5
伊勢級戦艦(2隻中2隻残存)
 砲撃力32 防御力28 基本射程33 速力5
長門級戦艦(2隻中1隻残存)
 砲撃力36 防御力32 基本射程37 速力5
大和級戦艦(2隻中2隻沈没)
 砲撃力45 防御力44 基本射程41 速力5

 太平洋上の艦隊戦で沈没したのは金剛級2隻と扶桑級2隻。
 扶桑級は旧式艦ゆえに本国待機だったが、レイテ沖海戦で囮艦隊として出撃。
 伊勢級は航空戦艦に改装されたが搭載機(練度不足)の準備が間に合わず。
 長門級陸奥)は泊地で謎の爆沈。
 大和級(武蔵)はレイテ沖海戦で沈没、大和はアクエリアスで(以下略)

 ゲーム内ではこれだけのデータが揃っているが、実際のゲームは史実に基づいたシナリオ形式であるため、戦艦同士の艦隊決戦はありえない。
 そもそも5分5分の対決自体、戦史ゲームではありえないのだ。
 データブックには他巡洋艦以下の艦船やイタリア、ソビエト、オランダなどの他国艦船、八八艦隊等の日米未完成艦もあるので、自作シナリオで架空艦隊決戦はできるだろう。
 真珠湾奇襲なく残存している戦艦群と、他艦種へ計画変更されていない巡洋戦艦群で構成されたアメリカ太平洋艦隊と、日本の八八八艦隊(新造戦艦8隻、新造巡洋戦艦8隻に既存の金剛級4隻、扶桑級2隻、伊勢級2隻を含む)が激突するとどうなるか・・・。
 
 とりあえず次回は「連合艦隊」以外のゲームで各艦を比較してみようと思う。