●JABROからNEWTYPEへ

前回触れたJABRO再販の件、JABROのゲーム内容についてもう少し思い出してみた。

MSや車両などのユニットは基本1機につき1。
データカード化される前の古いゲームなので、ユニットにはさまざまな情報が記載されている。
JABROでは固定武装の有無もあるが、おおむね7種の能力が数値化されてユニットに印刷されている。

(1)ユニット記載情報

左側上段:白兵戦値 
 MS同士の格闘戦を行う際に使用する数値。車両にはこの数字がないので、MSが車両に白兵戦を挑むと車両は即破壊される。
 また、ビームサーベルなどの格闘戦武器を使用する場合は各武器の白兵戦値が加算される。
左側中段:機動修正値
 そのユニットが射撃の目標になった場合、命中判定時に加算される数値。マイナスであれば避けやすく、プラスであれば攻撃が当たりやすい。
 GMが0で、この辺を基準に各MSの数値が設定されていたように思う。
 (正直パイロットの命中・回避DMのほうが要素としては大きいので、この数値は飾り程度でしかない)
右側上段:移動力
 陸上戦闘では地形効果による移動力消費があるので、数字が大きめだった気がする。
 最速がホバー移動のドムで、大口径バルカン搭載車などはろくに動けなかったような気が。
右側中段:装甲
 射撃が命中した場合、損害判定のDMとして適用される。
 GMがたしか3で、この辺を基準に各MSの数値が設定されていたように思う。
 このゲームがデザインされた頃は1年戦争の外伝がまだなかった時期なので、戦力バランスとしてはドム>GM>グフ>ザクのように設定されていた。
 GMの装甲もガンダムと同じだし、ビームスプレーガンもグフザク程度なら十分有効な武器だった。
 (GNOギレンの野望などなど1年戦争全体を扱うゲームになると、開戦初期のバランスをとるためにGMの早期開発と弱体化がなされ、GMの地位はザクレベルに失墜する)
下段左側・真ん中・右側
 そのユニットが保有する固定武装の火力・命中修正・故障指数(弾切れ)
 この数値が印刷されているおかげで、続編のNEWTYPEの時に発生するハイスタック現象がかなり緩和されている。
 車両や武装が少ないユニット(ゾックなど)は1ユニットで全能力が表示される。
 ガンダムやGMは頭部バルカン砲、ガンキャノンガンタンクは肩部キャノン砲、グフは左手内装バルカンの数値が記載されている。
 (ガンキャノンはキャノン砲が固定武装扱いなので、バルカン砲は無視されている)

(2)スタック

通常ユニットの基本的なスタックはMS車両+パイロット+武器で構成される。
一般兵など数値が固定化されているパイロットユニットはスタック省略でき、かつ固定武装のみのユニットは武器ユニットがないので、最低スタックはMS車両本体の1ユニットですむ。
1へクスにスタックできる(MS車両本体)ユニット数は上限3なので、戦力集中した際に生じる最低スタック数は3になる。
ハイスタックのユニット(柱と化したユニット)を移動させると、ユニット柱の崩落やあわよくば他ユニットとの混在などが発生し、移動・戦闘の際に非常にプレイアビリティが低くなる。
この辺がまだJABROが「許せる範囲」にとどまっている所以である。

(3)NEWTYPEではどうなるか

JABROの続編としてデザインされたNEWTYPE(NT)は、おもにソロモン攻略戦(アバオアクー攻略戦)を再現することを目的とした宇宙戦闘ゲームであり、JABROを基本としたルール構成になっているが、武器ユニットが本体ユニットから完全分離されたために「ハイスタック現象」が常態化することになった。
武器ユニットの完全分離で本来装備されているはずの武器が完全再現されることになったが、ハイスタック化現象に歯止めがかからなくなり、ゲームとしてきわめて遊びにくくなってしまった。
NTでは車両が登場せず、かつ武装を多数装備しているMAが登場するので、1ユニットあたりのスタック数の平均がJABROよりも高くなっており、武装の少ないガトルやパブリクをのぞけば最低でも1ユニットあたり4−5ユニットがスタックされる。
パイロットも一般兵以外は省略できないので、使用武器の宣言、命中判定、損害判定のたびにいちいちスタックを崩して中身を確認しなればならないのである。
旧式化してほとんど戦力にならないザクでも基本装備で出撃すれば5ユニット程度のスタックになるし、ガンダムの決戦仕様になるとMS+アムロ+バルカン+ビームライフル+ハイパーバズ×2+シールド+サーベル×2で1機で9ユニットのハイスタックになる。
実際にはありえないが、このガンダムフル装備が3機分スタックすると27ユニット分の「柱」が出来上がる。
さらにこのNTガンダム部隊を3機1小隊として3個小隊を1群として出撃させると・・・・。
もうおわかりでしょう、NTとはこのようなゲームなのです。

NTは後日拡張セットとして艦船ルール(ユニット)を追加したゲーム「ホワイトベース」が発売され、艦船・MSイリミダレの壮絶なソロモン攻略戦を再現することができるようになりました。
同様に艦船の武装もユニットとして個別化されているため、艦船自体もかなりのハイスタックになります。

ホワイトベースの場合。
連装主砲、メガ粒子砲×2、前部ミサイル、後部ミサイル、対空砲各種。
艦船の場合パイロットユニットは存在しなかったはずなので、パイロット分のユニットが省略されるものの、固定武装のおおさゆえにハイスタック化が増長される結果になった。
ちなみにホワイトベースからフル装備NTガンダム部隊が3個小隊出撃すると・・・