●球界惜人 

(1)先発の柱・七梨(加賀屋スプリングス)

 ここ近年頭角を現し先発投手陣の柱となった七梨が突然引退した。
 昨年度(7期)は悲運のエース早川に劣るものの2本目の先発投手としてチームに貢献、来期も当然チームのために大いに働いてくれるとばかり思っていたが、悲劇は突然に訪れた。
 契約更改の当日、球団側は七梨の順番が来る前に、更改を5分以内に終わらせることを目標としてそれなりの条件提示とあらかじめ印鑑とサインを準備して七梨の入室を待っていた。
 ところが・・・・七梨は入室すると突然辞意を表明、そのまま窓を破って球団事務所を飛び出し、行方不明になってしまったのである。
 この嵐ともいえる突然の事件に球団関係者は1時間以上茫然自失、七梨の後の順番であった選手の契約更改は、ことごとく選手の言いなりのまま球団側が契約書に署名押印するという始末。
 (代走屋テニスの陣太郎は、脚にかけている保険金の掛け金5000万円を含め年俸1億円を要求。これに対し球団側はお願いしますと頭を下げたらしい)
 1時間以上経過したあと我に返った球団関係者は七梨投手の行方を捜索したが、一向に動向がつかめず、辞意を表明するに至った原因もわからないという状況のまま現在に至っている。
 とりあえず球団側としては、本件の事件を直視するには時間が必要と考え、事件に関係する様々な緘口令を公言した。

 ・数字の「7」は球団としてアンラッキーナンバーとする。
 ・新年を迎えるにあたり、満年齢が27歳もしくは37歳に達する選手は「数え年」表記とする。
  (第7期名鑑によると本須和内野手、テニスの陣太郎内野手らが該当する)
 ・背番号の末尾が7および70代、700代の選手の背番号を強制的に変更する。
  (第7期名鑑によるとうさだ投手、音羽内野手などが該当するが、左記以外の選手はなぜか自由契約になっている) 

 開幕までさほど時間がないが、球団関係者はこの試練を乗り越えることができるだろうか。
 (平成23年1月16日共同通信発)
 
 (2)関と売の師弟コンビ、競輪界に転身(府中レーシングチーム)
 
 第1期から遊撃のレギュラーとして活躍していた関内野手は、ここ数年重要な選手枠1名分を確保し続け球団に迷惑をかける存在であったがついに辞意を表明した。
 (引退を表明しないと来期は契約しないという球団側からの内容証明郵便に対し、昨年の年賀はがきで関が球団側に辞意を表明したもの)
 この関の決断を大いに評価した球団はシーズン終盤の消化試合に関を出場させることを本人に約束し、一軍登録を実行した。
 しかし、とうの消化試合は特にこれといった大きな勝敗の分岐点もなく、シーズン中の采配と不満の多い選手たちの応対に疲れ果てていた監督はベンチで居眠り。
 関はベンチに座ったまま、試合終了を迎えてしまった。
 さぞかしショックを受けたであろう関も関で、すでに球界に心無く1回の表から弟子である売に来期のレギュラー構想から外れていることを通達し、球界よりもパイプの太い競輪界への転身を熱心に口説き始めたのである。
 はじめは耳もかさなかった売だったが、攻撃時は打順以外のすべての時間、守備時は一塁ベースコーチボックスに入った関本人から熱心にくどかれ、ゲーム終盤には売の心も競輪界にずいぶんと傾きはじめた。
 案の定、契約更改の日に売は「球団と来期の契約をしないこと」を表明、球団側も売の意思を尊重、競輪界へ転身の条件として定年後の球団関係者の雇用(役員待遇)を関が了承することで師弟の競輪界転身が決定した。

 関も関だが球団も球団だと感じさせる一件、ただそれだけであった。 
 (平成23年1月16日球団担当記者雑文)