火の鳥(太陽編)
・結局サイボーグ009のように火の鳥も未完だったのね。
・太陽編は7世紀の古代日本と、その後の遥か未来を舞台とした長編。
古代部は中大兄皇子の在位から壬申の乱大海人皇子が勝利して天武天皇として即位するあたりまでが舞台。
古代史の本は色々読んできたけれど、この時代は半島・大陸との外交問題もあり、かなり面白い時期なのです。
「逆説の日本史」では天武天皇について色々と懐疑的な文章があり、ゆくゆくは天智天皇派の血統に皇位が継承されていくことから、どちらかというとダークなイメージがあった。
また、仏教の日本の布教については物部氏との宗教戦争で決着がついているものと思っていたが、火の鳥(太陽編)を読む限り私の古代史のイメージとはだいぶ異なっていた。
太陽編での主人公は犬上御田鍬百済出身の若者だが、戦いに敗れ倭に逃げ込んできた。
戦いに敗れた際に、顔の皮をはがされ、はぎとった狼の顔の皮をあてがわれてから、外見上が狼人間となったが、異形ながらも邑(村)をまかされるほどの人徳者。
中大兄皇子が国策としてすすめる仏教の布教に対し(仏教は作中では異国の怪しい宗教というイメージで描かれている)日本古来のヤオロズの神を信仰することを宣言する。
大海人皇子天武天皇)は仏教の布教を考えているわけでもないため、この点で犬上御田鍬と結びつく。
このほかにも、雲の割れ目から持国天が大海人軍にサンダブレークを浴びせたり、作中で描かれている「仏教=ダークサイド」という視点が新鮮でした。

◎世界史B用語集
・会社帰りに本屋で見つけました。大きな本屋なので在庫多数あり。
これをお供に「30の戦いから見る世界史」を読んでみよう。

スターリングラードの戦い タンクバトル3
・面白いので快調にすすむ。
・この作品は戦いの状況をただ文章化しているだけでなく、一部隊にスポットあて戦場の雰囲気を描きながら、戦いの進展を文章化している所が他の戦史モノより優れている。
・ソフィン戦争は第4巻にも続く様相だが、主戦場でないがゆえに珍妙な多砲塔戦車が独ソで投入されていたりして、主戦場以外の章でも楽しめる内容。
スターリングラード戦は独ソで包囲戦を繰り返し、救援に向かったドイツ軍の援軍をソ連がさらに迎え撃つという激戦。
戦車の能力でやや劣っているドイツ軍は、戦車の運用や戦い慣れしている点で有利であるものの、雲霞のごとく沸いてくる未熟なソ連軍に徐々に押し返され始める。
またスターリングラード戦において、ドイツ軍は戦力を自前の軍団でそろえることができなくなってしまっており、おもにルーマニア軍の軍勢でカサマシされている。
作中ではルーマニア軍も(イタリア軍ほどではないにせよ)かなりおそまつな軍隊で、練度・統制・装備の面で劣っており、ソ連軍に勝てない。
スターリングラード包囲網もルーマニア軍を狙い撃ちされ、これがきっかけでドイツ軍のほころびが始まった。
イタリア軍もわずかながら対ソ戦に参戦しており、ルーマニア軍よりもさらにひどいと書かれている。
ルーマニア軍は装備・練度などで劣るものの、戦意はあった。
イタリア軍は自称軽戦車と呼ばれる戦闘車両を率いていたものの、数は少ないし、そもそも軽戦車自体その性能はドイツ軍ではすでに前線から姿を消している車両程度のもの。
装備は劣悪、戦意もなく、すぐ決壊する。
ギリシャやアフリカでもあの程度なのだから、環境のきびしいソ連戦じゃまあそんなもんでしょう。