私の仕事上、取引相手の本人が亡くなった場合、その相続対象になる人を戸籍などで追跡しなければならない。
戸籍をとり寄せる場合(戸籍は個人情報に該当するので)、勿論申請の根拠となったいきさつを書面に記載し、必要となる添付資料は一通り添付する。
昨今、個人情報の開示について法律が変わったりしてために、以前に比べれば添付資料が多くなった。
これは個人の情報がそれだけ重要視されていることなのでむしろ当然といえるし、こちらとしても「必要」なのでとり寄せるわけなので、添付書類はすべて同封して申請している。

ここで、予想されてはいたが「お役所仕事」に直面した。
お役所のマニュアルにこちらとしても振りまわされるわけにいかないので、役人が要求する書面を少なくするように交渉を続けてきた。
アッサリと了解する役所もあれば、これから書くような役所もあり千差万別。

まずはこちらで役所に提出している書面について列挙する。
・申請書および利用目的以外に使用しないことを誓約する書面
被相続人(亡くなった人)と当社が契約関係にあることを証明するため、契約書の写し
・相続対象者であることを確認するための書面(戸籍・住民票などの家族一覧)
・申請者が法人であるため、法人の登記簿謄本(写し)。
・申請人(担当者)が正規の社員であることを証明するため社員証の写し
(別途必要な小為替と返信用封筒)

ここまでは必ず「必要」とされる書面。
法改正にともない、まったく不可解なのだが申請する社員の公的身分証明(免許証など)もほぼ要求される。
はじめはなぜ必要なのか相手に聞き返して法的根拠を説明してもらおうと試みていたが(現に それじゃいいです と引き下がる役所もあった。じゃあ最初からいらないってことだろ?)、最近は時間の無駄なので本籍と生年月日を塗りつぶしてコピーを2−3回繰り返してメタメタになった免許証の写しを添付するようにしている。

法人として申請し、社員であることの証明書も添付しているのに、なぜさらに「社員の個人情報」が必要なのか?
この説明を求めると「少々お待ちください」と保留され、長らく待たされた上で年配の男性に交代する。
それでも返ってくる言葉は簡単にいってしまえば「きまりです」「条例です」ってこと。
「その条例をみせてくれ」というと、ホームページで公開されている条例がFAXで到着。
しかもこちらの個人情報が「どのように保管され」「保管期間はどれくらいで」「こちらの個人情報が漏れたり悪用された場合は誰がどのように責任をとるか」ということは書いてない。
そもそも「申請人が法人であった場合、社員証の他に免許証・住民票等の個人情報が必要」とはっきり書いてない。

ここまでの流れを把握してもらった上で、実例を紹介(アルファベットは適当に割り振りました)。

(その1)神奈川県のF市役所

私の離席中に申請書類に不備ありと連絡が入り、不備書類をFAXしてくれと言わんばかりにFAX番号を伝言して電話が切れたらしい。
不備書類はさきほどの「社員の個人情報たる免許証などの写し」。
大事な市民の個人情報(戸籍・住民票)は書類が完備していないと発行しないし、ましてや戸籍や住民票をFAXで送るなんてことを絶対に役所はしない。
その大切な戸籍・住民票と同じ「個人を特定できる個人情報」をFAXでよこせってどういうことだよ。説明しろ。

(その2)北海道札幌市S区役所

東京にある会社から札幌市のS区役所に戸籍の申請をした。遠いので片道2−3日はかかる。
そのS区役所から返信封筒が届いていたので中身を開封すると、申請した書類一式がそのまま入っていた。
添え書きが一枚、パラリとこぼれ落ちたので読んでみると「不備なのでお返しします」という文言と不備書類欄の該当する不備書類にマルがつけてあるだけ。
電話をかけて「申請書に担当連絡先が明記してあるのになぜそのまま返送したのか」を確認すると「ウチは取り扱い件数が多いので」。
知るか!そんなもん。

(その3)福岡県北九州市W区役所(1)

7月中旬に史上最悪のケースが発生した。相手の要求がこれまでにないクラスなので、個別に記載。

・法人の登記簿謄本(写し)について
 役所の要求事項:原本を役所に送付すること。原本を役所でコピーして返信用封筒に入れて返送するので、原本を送ってください。
 私の回答:法人の登記簿謄本は「法務局に出向いて」「発行料1通1000円払って」取り寄せるので、その時間とコストをこちらが負担するということなのかどうか。コピーでなぜ不十分なのか理由説明してほしい。
 また、当社は役員の改選が多いので謄本が10ページ近くなる。この往復の郵送料もこちらで負担せざるを得ないということなのか。
 (法務局で申請して取得できるんだから、そちらで勝手にとれ)

・相続の確認資料について(兄弟親類が多いケースだったので誰が放棄して、誰が相続対象者なのか書面をつけておいた)
 役所の要求事項:相続人が放棄したなら放棄書類を添付してください。
 私の回答:放棄した相続人が非協力的であったり、現在弁護士等を仲介して放棄手続き中であった場合は書類が揃うまで時間がかかるので、その書面がすべて揃うまで戸籍の申請できないのか?
 申請が足止めになった場合、停滞している間利息が加算されるので、結果的に相続人の不利益になる。債務者ごとに交渉記録をすべて記録しているので、相続人と利息の件で争いになった場合は経緯はすべて説明せざるを得ない。

・社員の個人情報について(この時は免許証写しを添付しなかった)
 免許証写しの添付が必要な理由と法的根拠とその該当する文面の特定を要求したが、上記2件のことがあり別途送付することでこちらが折れた。
 しかしこの直後に「申請書にも(私の)氏名・住所を書いてほしいんですけど」と要求してきたので、当然突っぱねました。

ここまで要求してくる役所ははじめてだったので、反論するだけで疲れましたが、相手の基本線は「きまりですから」。
上記3点の内、免許証の写しのみ別途送付することで決着し、その後申請した書面が無事到着した。

(その4)福岡県北九州市W区役所(2)

その3で無事到着した書面を見ると、親類縁者はやはりこの地域に多いことがわかり、再度この役所に戸籍を申請することになった。
その3で問題は決着しているので、前回のケースにならって必要書類を一通り添付して申請。すると2−3日後に電話がかかってきた。

「あのー、不備書類がいくつかありまして、まず法人の登記簿謄本の原本を送ってもらいたいのですが・・・・」

まったくこの役所はどうなってるんだ。

私「それは前回申請の時にすべてお話しています!7月の中旬に同様の申請をしていますからそちらをまず見てください」
役人「それとは別に相続放棄の・・・・」   
私「7月○日付けで○○さんの申請をそちらにしているので、その2−3日後の書面をみてください。そのときの担当は○○さんなのでその方にも確認してください。過去の申請を確認してそれで不備があれば電話連絡をください」
なかば強引に電話を切った。2回目はさすがにつきあいきれない。

先日、無事書面が到着。中身を開けて見ると、まだこの地区に親類がいるらしい。